手水鉢さんのカクシゴト

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間寛平と三井高利に学ぶ保証人の断り方

保証人になって地獄を見た間寛平

「しくじり先生」というテレビ番組で芸人・間寛平が保証人になって地獄を見たという話を視聴しました。

 

間寛平が保証人になったきっかけ

 間寛平が20代。彼は吉本新喜劇で史上最速で座長となり、テレビにも引っ張りだこ。そんなお笑いエリートだった間寛平でしたが、一度は娘と一緒に心中しようかと考えた時期があったそうです。

そのきっかけが、先輩芸人がギャンブルでこしらえた借金の保証人になったことでした。お約束ですが、先輩芸人は蒸発。間寛平のもとに請求書が回ってきます。

この借金が、街金からの借金530万円(初任給が大体8万円の時代)で月七分(はっきり言って違法です!)という法外なもので、月の支払いは利息だけで37万1000円!!
間寛平吉本新喜劇やテレビに引っ張りだこだったとはいえ、20代の芸人が払うにはとても荷が重い金額。
これをきっかけに様々な借金を背負うことになります。

この間寛平を苦しめるきっかけとなった先輩芸人の借金の保証契約は債務者も債権者もクズな事案で、絶対に断るべきものでしたが、間寛平は考えなしに連帯保証人になってしまいました。

本題に入る前に少し豆知識

保証人はほぼすべて連帯保証

間寛平さんは、「(何も考えずにハンコを押したので)自分が普通の保証人になったのか、連帯保証人になったのかわからない」とテレビでおっしゃっていましたが、寛平さんがなったのは間違いなく連帯保証人です。
保証人には民法上単純保証と連帯保証の二種類ありますが、実務では連帯保証のみだからです(就職の時の身元保証とかは別のはなし)。

街金からの借金はたちが悪い

消費者金融からの借金について債務整理や過払い金請求については、弁護士は引き受けてくれるところがほとんどです。難しくないですからね。

一方で街金からの借金についての解決について、弁護士でも断るところが多いので注意です。理由は、反社会組織が関わるなどリスクが高いわりにリターンが少ないから。
ですから寛平さんの事案は質が悪いです。

当たり前ですが、大事なのは契約の内容

テレビでは保証人の事例として、アパートなどの賃貸借契約の際の保証が挙げられていたが、これについては、さほど警戒する必要はないでしょう。
賃貸借契約の場合、数ヶ月(だいたい三ヶ月位)滞納すればそれで契約解除となって、家賃が膨らむことはあまりないです。
7万円のアパートなら21万円くらい被るだけでしょう。
つまり、保証人になるかどうかで重要なのは、誰の誰に対するどういう債務の保証なのか。契約の内容がとても重要になってきます。

 

「契約なんてわからん」くせに、「せっかく来てくれたのになんか断るのも悪い」というお人好しはどうすればいいのか。

そうはいっても契約書はむずかしい

間寛平さんが断りにくかったのは、本人がお人よしだった、ということもありますが、
契約書もろくに読んでいなかったということもあります(月づきの返済額がすぐに計算できていれば流石に無理だとわかったはず)。
ただ契約はよく読もう、といっても、多くの人は読んでもその危険性を理解できません。
街金が危ない、といっても、債権者の名前が「街金OOファイナンス」なんて書いてないわけですし。どれが街金かなんてすぐにわからないかもしれません。
ですから、「保証人には絶対になるな」という格言は、かなり大雑把であるにもかかわらず、多くの場合にあてはまり、かなりの人を救っています。

断りづらい人間関係の存在

ただ、人間関係のことを考えると、どうしても断りづらい人というのも出てきます。
間寛平さんの場合は先輩芸人。当時の上下関係から考えると断りづらかったでしょう。
普通の人の場合、実方や配偶者の親・兄弟が断りにくい相手ですね。
その場合に借金の連帯保証人を断れるかどうか。
それが今後の人生を決めるほど、とても大事なターニングポイントとなります。

ということで、凡人が頭をひねる前に、歴史上の偉人から「断るテクニック」を学びましょう。

 

三井高利から学ぶ「断るテクニック」

三井高利は、三井家が豪商になるきっかけを作った江戸時代の商人です。三井家は三井財閥となり、今でも「三井住友銀行」などの名前からもわかるように経済界で力を誇っています。
この三井高利にも、断りにくい相手がいました。大名です。
商人はお金を持っていても、社会的地位は大名よりはるかに下だった(士農工商ですから一番上と一番下)からです。
大名に融資すること(大名貸)は、借金の額が大きくかつ踏み倒されるリスクが有るにもかかわらず、身分の違いから断りにくいという、やっかいなもので、この大名貸しによって倒産する商人が続出していました。

三井高利のところにも大名が借金を申し込みに来ました。
むげに断ればどんな嫌がらせをされるかわからない。でも、大名貸しをすれば倒産するかもしれない。

そんな板挟みの中で、三井高利が選んだ道は、
融資を断る代わりに一定額の金員を差し上げて大名にお引き取り願う

というものでした。
こうすることで相手のメンツも潰さずに、大名貸しも回避できました。
小さい損を被ることで大きな損を回避する、いわゆる「損切り」というものですね。

保証人についても「損切り」で回避

三井高利が断ったのは直接的な融資ですが、保証においても同じです。

どうしても断りづらい相手が来た時でも、「損切り」することで自分を守ることができるのです。

もちろん、現代では身分の違いはありませんので、毅然とした態度で断ることも正解です。
ただ、別の選択肢としてこの「損切り」もあるぞ、とわかっていると、色々な状況に対処しやすくなると思います。

まとめ

契約書はきちんと読もう。

保証人の依頼が来たら、お金を渡してでも、お引き取り願おう。