大阪市の校長が仰天発言!「女性は子育てをした後に大学で学べ」!?
大阪市の校長が情けない失言をした上に、間違ったことは言っていないと恥の上塗りをしている。
大阪市立茨田北中(鶴見区)の寺井寿男校長(61)が2月29日の全校集会で「女性にとって最も大切なことは子どもを2人以上産むことで、仕事でキャリアを積む以上に価値がある。子育てをした後に大学で学べばよい」と発言したことが11日、分かった。市教育委員会は「軽率な発言」として懲戒も視野に処分を検討している。
今月2日、発言を問題視する匿名の電話があり、市教委が本人に事情を聴いた。寺井校長は、間違ったことは言っていないとの認識を示し「生徒には(集会などで)あらためて趣旨をきちんと話す」と述べたという
何が問題かもわかっていないのがすごい。
けれども、実際「問題ない」っていう人もちらほらいるみたいだから少し書く。
「女性にとって最も大切なことは子どもを2人以上産むこと」!?
おそらくこの発言は、出生率が2.0にならないと少子化が加速するから、ということを背景にしていると考えられます。
たしかに、出生率が2.0でようやく人口のバランスが取れることでしょう。
しかし、これは、「国家」にとって大切なことであって、「女性」にとって大切なことではありません。
「子育ては、仕事でキャリアを積む以上に価値がある」とか決めつけるな
ここでも、「(子育ては)仕事でキャリアを積む以上に【国家にとって】価値がある」といえるでしょう。
子育てと仕事、どちらに価値があるかを決めるのは、我々ひとりひとりです。
手に職をつけることなく、学歴もない状態で、家庭で子育てをする。その途中で離婚や事故で配偶者を失ったとき、どれほどの不利益を女性が負うと考えているのでしょう。どうしてそんなリスクを負わないといけないのか。
そもそも、いつ大学に行き、いつ子供を生むか、は個人が決めることであって、国に指図される謂れはありません。
なお、もしかして「子育ては仕事をするより大変なのだから、すごい経験として就職の際に評価するように働かけるべきだ」と言いたかったのかも、と善意に理解しよう試みてみましたが、それは社会(政府)に言うべきことであって、全校集会で生徒に対していうことじゃないので、かなり無理な解釈です。
どうして、子育てをするのが女性だけの役割なのでしょうか。
なぜ男に「子育てをした後に大学で学べばよい」といわないのでしょうか。
校長の発言の節々に見える、時代錯誤な思想
この校長の発言の裏を考えると、そこに時代錯誤な思想を見て取ることができます。
個人を国家の下にみる(戦前の日本のような)思想。
女性が子育てをして、男は子育てをしなくていいとする思想。
60代以上の男はみな同じような時代錯誤な思想を持っているとは思いたくはありませんが、男尊女卑な失言をする政治家が後を立たないこと、育児に対する福祉が全く充実しないことを考えると、弁護することが虚しく感じます。
他人を犠牲にして自己の利益を図ろうとするのはクズのやり方
「国民」が少しの不利益を負うだけで国家に利益があり、国家のメンバーである「国民」は、それ以上の利益をみんなで享受することができる。国民はなんら損はない。
集団予防接種などはそうかもしれません。
しかし、この論理を校長の発言の正当化に使うのは詐欺です。詭弁であり、欺瞞に満ちてもいます。
ここにいう国家の利益は、女性の犠牲によって生じるものです。
国民全員が平等に負担する不利益ではありません。
仮に国益となり女性に利益が戻ってくるとしてもそれはプラスマイナスゼロです。
一方で男性は、なんらの犠牲を伴わずに利益だけを享受します。
こんな不平等が許されるのでしょうか。女性の人生をなんだと思っているのでしょうか。
この校長やその意見に賛同する人たちは男だから、この詭弁・欺瞞に気づかないのでしょうか。
追記
生徒集会での校長発言が掲載されていたのを発見。
全校揃った最後の集会になります。
今から日本の将来にとって、とても大事な話をします。特に女子の人は、まず顔を上げて良く聴いてください。女性にとって最も大切なことは、こどもを二人以上生むことです。これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります。
なぜなら、こどもが生まれなくなると、日本の国がなくなってしまうからです。しかも、女性しか、こどもを産むことができません。男性には不可能なことです。
「女性が、こどもを二人以上産み、育て上げると、無料で国立大学の望む学部を能力に応じて入学し、卒業できる権利を与えたら良い」と言った人がいますが、私も賛成です。子育てのあと、大学で学び医師や弁護士、学校の先生、看護師などの専門職に就けば良いのです。子育ては、それ程価値のあることなのです。
もし、体の具合で、こどもに恵まれない人、結婚しない人も、親に恵まれないこどもを里親になって育てることはできます。
次に男子の人も特に良く聴いてください。子育ては、必ず夫婦で助け合いながらするものです。女性だけの仕事ではありません。
人として育ててもらった以上、何らかの形で子育てをすることが、親に対する恩返しです。
子育てをしたら、それで終わりではありません。その後、勉強をいつでも再開できるよう、中学生の間にしっかり勉強しておくことです。少子化を防ぐことは、日本の未来を左右します。
やっぱり結論は、「今しっかり勉強しなさい」ということになります。以上です。http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=j702572&type=1&column_id=316414&category_id=1956
結局やはり、「お前たちは国家のために自己を犠牲にして奉仕しろ」というのと変わりありませんね。
二人育てたら無償で大学に、なんてことも言っていますが、そんな制度は今の日本にはありません。この校長が用意しているわけでもありません。
結局、この校長は自分にとってなんらの犠牲も払っていないのです。
金も手間も、なにも犠牲にしません。なのに偉そうなことだけ言っています。
中学生相手に!
子育てがきちんとする環境を整えるべき世代がサボっているから日本はこのザマなのに、その犠牲をどうして今の子供達が払わないといけないのか。
子育ては、必ず夫婦で助け合いながらするものです。女性だけの仕事ではありません。
具体策なし!
こんなの当たり前の話で、具体策は何も書いていません。
どうして言えないのか。校長自身、たいして子育てをしなかったからでしょう。
男子も積極的に子育てに参画しても社会的・金銭的負担がないように制度を整えたなら、「ちゃんとやれ」といえるでしょうけれど、そんなものはありません。
ここでも、上の世代は「ああしろ、こうしろ」というばかりで、自分たちはなにもしないのです。
最後の「勉強をしなさい」という言葉も、
勉強をすればあなたは幸せに近づくから、という個人主義から来たものというより、
勉強をして国家に奉仕しろ、という戦前のような思想から来ているものとしか聞こえません。そのような指導が正しいとは決して思えません。