手水鉢さんのカクシゴト

written by @chouzubachi

奨学金の問題について

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奨学金の制度に問題があるという議論がここ数年ずっと起こっているものの、解決する道筋はあまり立っていません。

教育に予算を投じる姿勢が、政府に乏しいからです。

奨学金制度の問題点の根源は、

  • 所得が低い家庭では奨学金を借りないと大学に行けない
  • 大学に行けないと就職口が圧倒的に減る
  • しかし、大卒でも就職できるとは限らない

この3つによるものと考えられます。

所得が低い家庭では奨学金を借りないと大学に行けない

国立大学でも一人暮らしをする場合には、4年間で1000万ほどかかります。
アルバイトをして月10万円稼いだとしても500万円ほどは工面しなくてはなりません。
(月10万円稼ぐくらいバイトしながら学業を両立させることはかなり大変で、ブラックバイトだとわかってもやめられないという問題とも関連します)

所得が低いことは「自己責任」とはいえません。
世帯平均所得は1994年に664万円でしたが、2013年では528万円と下がる一方、
大学授業料は年41万円から年53万円に上昇。
いずれも奨学金の借り手にはコントロール不能なものです。

大学に行けないと就職口が圧倒的に減る

大学に行けないと就職口が減ることも「自己責任」の範囲外です。

「高卒の就職率は90%を超えているのだから、大学に行かないと就職できないなんてことはない」なんて寝言を言う人がいますが、

就職率がなんの数値なのかわかっていないのでしょう。

この就職率というのは、調査時点(4月1日)で、就職を希望している人の中で、就職できた人の割合にすぎません。家事手伝いや進学希望者は除かれるのです。当然見かけ上の数値は上がります。

しかも、就職率90%というその数値の中身も、高卒就職者の三年間の離職率は4割以上ということをみると希望通りの職を得たとはいいがたいものです。

 

大卒でも就職できるとは限らない!

大卒者はだいたい毎年56万人います。就職希望者は43万人で内定者は35万人ですから、8万人程は、就職できなかったといえます。

www.mhlw.go.jp

それだけでなく就職希望者は43万人ですが、大学院に進学するのはおよそ8万人なので、残り5万人は就活を諦めた層かもしれませんし、大学院に進学した理由が就職に失敗したからという場合もありえるので、大卒で就職できなかった人は13万を超えるでしょう。20%の確率で就職できないということです。

就職ができないのも、景気の動向に左右されるので「自己責任」の範囲外でしょう。

 

奨学金を借りて遊んでいる奴がいる!」?

もちろん奨学金を借りてそのお金で遊び呆ける人もいるでしょうが、
割合からすると少数と考えられます。
というのは、奨学金を借りている大学生は52.5%(日本学生支援機構の「学生生活調査」(平成24年度)による)。
過半数の大学生が借りているのですから。
遊び呆けたわけではないのに、社会環境に人生を左右されてしまい苦しんでいる人がいるからなんとかしましょう。
そう言っているときに「遊び呆けている奴もいるから救う必要性を感じない」とかいうのは反論になっていません。

多くの学生は、生活を維持するため、学費を払うため、アルバイトに勤しまねばならず、長時間労働をしています。

そのため勉強時間も多く取れず、成績優秀者に対する学費免除などもなかなか取りにくい状況といえます。

 

「自己責任」「借りたものは返すのが当然」?

上記の通り、奨学金を借りて返せないのは、自己責任と言いがたい場合が多いとわかります。「自己責任」と突き放すのは無理があるのです。

また、借りたものは返すのが当然、とか言ってる人は、
日本が戦後賠償をアメリカに棒引きにしてもらっている歴史を知らないのでしょうかね。
国家と個人とでは違うとか言い始めるのでしょうか。
当然っていうのと矛盾しているのに気づかないのでしょうか。

また、棒引きという点で、破産することで借金を棒引きにすることも可能ですが、この場合連帯保証人が借金を背負うことになります。
奨学金の場合、連帯保証人が親族であることが基本なので、破産するという選択肢はかなり難しいです。

 

奨学金周りの問題に対する提言

ですから、奨学金まわりの問題に対して、

  • 奨学金を給付制にする
  • 大学の授業料を下げる
  • 現在の就職のプロセスを見直す(大卒が資格化している問題)

ことが提案されることが多く、この内上2つが政府による実行が可能な手段です。

よくある 「『奨学金』を『奨学ローン』に名称変更しろ」という主張は、

文字通り「名称を変えろ」と主張したいわけではなく、

本当の主張は「給付の『奨学金』にしてほしい」ということだと読解する必要があります。ここを勘違いしている人、たくさんいます……。

 

「自分が苦労したのだから、若い人も同じ苦労をするべき!」「は?」

よくある言説ですが、「自分が苦労したのだから、若い人も同じ苦労をするべき!」という人がいます。老害に多いですが、中年以下でもちらほら見かけます。若い老害ですね。

そういう人に言いたいのは、「じゃあ、昔の人は水も井戸から汲み、薪で煮炊きをしていたけど、昔の人より若いあなたは同じ苦労をどうしてしないの?」ということです。

自分の苦労を子どもたちにさせたくないから社会は様々なインフラを整え、今の私達の生活が成り立っています。

同様に、私達が次の世代などに苦労をさせないために動かず、先人の努力だけを享受するのは、わがままでしかない。わたしはそう思います。

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